創作着想辞典
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イッカク

イッカク科イッカク属に属するハクジラの仲間。
 漢字表記の「一角」の通り、1本の角を持つように見える姿が特徴。実際には切歯が上唇を貫通する形で伸びたものであり、雄は最大でも5mに満たない体長に対して3mもの牙を有することがある。中は空洞であり、左巻きのねじ状に溝がある。北極海を中心に生息し、タラやイカなどの魚介類を食べる。
 かつてその存在が殆ど周知されていなかった頃は牙が「ユニコーンの角」と偽って流通し、様々な薬の原料となった。日本には江戸時代に「烏泥哥兒(うにこーる)」の名で伝わっていたが、この時には既に北の海の珍獣一角の情報も伝わっていたと思われる。
 あからさまにアンバランスな牙の役割は長らく議論され、種内での闘争用説や反響定位のアンテナ説、捕食の際の武器説などが唱えられてきた。現在、牙に多数の神経系が確認されたことから海上や海中における温度や気圧の変化を感知できることが判明したが、野外観察で獲物である魚を殴打して捕食する行動も確認されており全貌は未だ不明である。

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