カイロウドウケツ
海綿動物門 Lyssacisa目 カイロウドウケツ科に属する生物．学名は Euplectella aspergillum であり，種小名はキリスト教カトリックにおける聖水を振りかけるボトルにその姿が似ていることから命名された．英語では「ビーナスの花籠 Venus' Flower Basket」と呼ばれる
深海の砂地などに着生し，流れてきたプランクトンなどを食べる．海綿の仲間であるが体は二酸化珪素を主としたガラス質で出来た網状の構造をしており，破損のないものは観賞用として取引されることがある．
幼生はパレンキメラ parenchymella と呼ばれる浮遊生活を行った後，深海の砂地や泥地に定着して発生する．成長するにつれて円筒形を成していくが，その過程でエビが中に住み着くことがある．このエビは幼生生活中に本種の網目を潜り抜けて侵入し，プランクトンなどを食べて成長するが，育ち切った頃には網目を抜けることができなくなる．
名前は中国の古事「偕老同穴(かいろうどうけつ)」に由来するが，その理由もこのエビによるものである．この故事との紐付けから，結納の際の縁起物として本種が送られることも多い．
エビについては ドウケツエビ の項を参照．