木鶏
闘鶏における最強の鶏を指す言葉.『荘子』に収められた紀悄子の故事に因む.よく訓練され精神的にも達観した闘鶏は,相手が誰であろうと不安になったりいきり立つことなく,木彫りの鶏のように静かに立っているものだということ.
「二本足で立ち決して手をつかない」ことから鶏を縁起物とする相撲において,揺るぐことのない力士を暗喩する言葉としても用いられる.歴代最多の69連勝を記録した第35代横綱・双葉山は70連勝をかけた安藝ノ海(後の第37代横綱)との一戦に敗れた後,親交の深く敬愛していた哲学者・安岡正篤に「ワレイマダモッケイタリエズ」と打電したという.また,歴代連勝記録第2位となる63連勝をした第69代横綱・白鵬は,64連勝をかけた稀勢の里(後の第72代横綱)との一戦に敗れて支度部屋に引いた際に「イマダモッケイタリエズ,だな」とこぼした.