創作着想辞典
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ミトリダート法

少量の毒を計画的に繰り返し摂取することで耐性を獲得し,服毒や生物毒などによる暗殺を防ぐ手法.
 紀元前120年頃にポントス王国の王ミトリダテス5世エウエルゲテスが毒により暗殺され,若くして王位を継いだ息子ミトリダテス6世エウパトルが同様に命を狙われることを危惧した王妃が行ったと伝えられる.具体的な毒の内容は諸説あるが,息子のファルナケス2世に反乱を起こされた際に自死を選んでヒヨドリバナの毒を飲むも死にきれず,部下に介錯をさせたというエピソードが残る.
 現実的には有効な毒と無効な毒,却って寿命を縮める毒があるため,種類を見極める必要がある.ハプテンはそのままの摂取では抗体が産生されないためミトリダート法は無効であり,また重金属などは体内に蓄積するため継続するほど許容量は少なくなる.タンパク毒などの高分子抗原は抗体が出来やすいが,同時にアレルギーを発症するリスクも高い.
 ビル・ハースト Bill Haast やスティーブ・ラドウィン Steve Ludwin など,ヘビ毒を自らに継続的に投与することで複数のヘビ毒に有効な血清を血液から作り出せる人物が存在し,健康上の問題は特にないとされているが,これは生存バイアスが強い例であるため基本的には真似するべきではない.

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