創作着想辞典
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武器軟膏

16〜17世紀ヨーロッパにおいて流行した,戦いで怪我をした際にその傷を負わせた武器側に塗って用いる治療薬.武器に付着した血液は体から離れても互いに「共感の力」を持っており,血液が腐敗することによって共感した傷口が悪化すると考えられた.そのため,不浄な血がついた武器を清めることによって共感した傷口が癒やされ,早く治るとされた.
 当時であってもやや懐疑的な派閥も多かった武器軟膏だが,複数の検証を行った実験より有意な効果が認められたため徐々に浸透していった.
 事実は,対照実験の取り方に誤りがあったことと,当時の軟膏の効能が殆どないどころかむしろ悪影響を及ぼすものすらあったことが合わさった誤謬である.当時,切り傷や火傷の治療薬として灰や泥,聖職者の尿,動物の体液などが用いられていたものも多く,傷口に塗布すると化膿させる場合が多かった.加えて武器軟膏の検証のために行われた実験で「武器軟膏のみ or 通常軟膏のみ」といった対照しか取られておらず,併用や無使用のパターンを取らなかった可能性が高い.(実際には行った実験もあったと思われるが,目立った検証期間や伝達方法のない当時,情報は武器軟膏商人の都合のいいものだけピックされていたのではないかと思われる)
 つまり,武器軟膏のみを使用した場合は傷口が人体の免疫のみで治癒し,軟膏を用いるとその免疫を阻害して回復が遅れたために有効と誤解された.

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