創作着想辞典
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赤道祭

大洋を航海する船乗りが初めて赤道を越えた際に船上で執り行われる通過儀礼.
 18世紀頃,ヨーロッパでは航海術や船舶工学の発達により1000km単位での航海が可能となったが,その際に直面する問題の一つに赤道付近の無風帯があった.当時の木造帆船にとって無風は死に直結する危機であり,また熱帯特有のスコールも危険に拍車をかけた.そのため,船乗りはこの赤道を安全に通過する祈願を執り行うようになったとされ,それが転じて赤道を通過することで一流の船乗りとして箔がつくというニュアンスを込めた催事に拡大していったと考えられる.
 赤道通過経験者は"Sons of Neptune"(ネプチューンの息子)と呼ばれる.現在でも余興として行われる赤道祭のフォーマットでは,経験者の中で最年長のものがネプチューンを演じ,その他の経験者が仮装するデイヴィ・ジョーンズやバイキングなど海のモンスター的存在を従え,未経験者に洗礼を施すのが一般的とされる.モンスターや洗礼の内容は国や地域によってバリエーションが多い.
 海上自衛隊においても赤道祭の概念は残り,派手な祝祭とはならないものの訓練を休んで娯楽を楽しむ日として親しまれている.
 2012年に劇場公開され,翌年テレビ放映されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』では,イスカンダルに向かうヤマトがヘリオポーズを抜ける際に「太陽系赤道祭」が執り行われるシーンがあった.

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