創作着想辞典
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コードトーカー

母語をもとに暗号文を作り,解読する者として起用されるバイリンガルのこと.特にアメリカ軍が起用した,第一次世界大戦におけるチョクトー族や第二次世界大戦におけるナバホ族がその代表例として広く知られる.
 戦時中を代表として,情報戦における敵の介入を防ぐために暗号による情報伝達は古くから用いられてきた.しかし,平易な暗号は覚え使いこなすのが早い反面解読も容易であり,逆に複雑な暗号は解読される恐れは低いものの習得に時間がかかることが多い.また,解読に必要な鍵の伝達の時点で傍受されてしまうと無意味というリスクもあった.この問題を一挙に解決する手法として用いられたのが,習得の難しい言語を母語とするバイリンガル同士を暗号作成者・解読者にすることで暗号作成や学習,鍵の奪取のリスクを解消したコードトーカーであった.
 問題点となるのは一般的にコードトーカーに選ばれる言語では近代的な単語が殆ど無く,それぞれの単語に対応するコード表をまた別に作成する必要があることであった.実際,ナバホ語と英語のバイリンガルでやり取りを行う場合には「英単語」→「それぞれのアルファベットに分解」→「対応するナバホ語の単語に変換」という過程を踏み,受信側はまた逆の過程で復元していたとされる.これは仔細に調べれば置換式の暗号と同じ手法で解読が可能である反面,傍受側が言語を特定して話者を用意しても変換に用いられるコードブックを知らなければ解読できないというメリットもあった.
 日本においても,第二次世界大戦次にドイツとUボートに関するやり取りを薩摩弁話者に行わせるという手法で迅速に伝達した例がある.この時は暗号化せず,更には国際電話を用いてやり取りをしたため即座にアメリカ軍に傍受され,幼い頃から祖母の実家である鹿児島県で暮らしていた日系2世米軍人であるデイヴィット・アキラ・イタミによって解読された.

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