創作着想辞典
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レフュージア

ドイツ語で「隠れ家」や「避難所」を意味する語の複数形.単数系は"refugium"
生態系の分野で使われる際には「退避地」と呼ばれ,気候変動などに伴う環境の変化に追われた生物が最後に辿り着き,絶滅を免れているような状況に用いられる.
レフュージアの例として最も挙げられるものの一つがライチョウ Lagopus muta の仲間に関する説明である.現在,ライチョウ属はスカンジナビア半島からユーラシア大陸の北縁からアルタイ山脈,ベーリング海峡を挟んでアラスカからカナダ北部,グリーンランドと北半球の高緯度地域に広く分布しているが,その生息域は分断が多く,数多くの亜種が存在する.これらの亜種群は最終氷期(8万年前〜1万年前)に広がっていた寒冷地に広く連続的に分布していた祖先種が,平均気温の上昇に伴って生息域を狭め,年平均気温の低い高山帯にそれぞれ取り残された個体群が分化したものと考えられている,この時のそれぞれの生息域がレフュージアと呼ばれる.
変温動物では南方系の種の分布において,平均気温が低い地域であるのに分布が確認される例がある.その中にはその地域が温泉地になっている例があり,これを”geothermal hibernation refugia”(地熱冬眠によるレフュージア)と呼ぶ.
一般的にレフュージアは気温変化と紐付けされることが多いが必ずしもその限りではない.また,類似の分布隔離に海面上昇による島嶼生態系があるが,これらをレフュージアと呼ぶことは少ない.

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